アップルウォッチウルトラへの道
9月最後の三連休、台風15号吹き荒ぶ中、ついに楽しみにしていた新装備が届いた。
アップルの最新型アウトドアデバイス、アップルウォッチウルトラだ。
話は遡ること9月7日、毎年秋に行われるアップルの新製品発表会「Far Out.」。
未だにiPhoneXRで頑張っている身としてはそろそろ携帯を買い替えようと思ってイベントを心待ちにしていた。
発売と同時に買ったXRだが、デザインと基本性能が申し分なさすぎて、とうとう四年目を迎えようとしていたのだ。
ワクワクしながら始まったイベント当日、発表された新製品はリーク情報通りのiPhone14系とアップルウォッチ系、それとAirPodsPro2であった。
iPhone14Pro…カメラ性能が13から大幅に進化している点は物凄く惹かれた。手軽に高画質の写真が撮れることはとても魅力的だ。写真はいつも一眼で撮ってるが、どんな時でも一眼を持ち歩いている訳でもなく、機動性ではiPhoneに軍配が上がる。しかも最近のiPhoneカメラの進化を考えればブログや記録に残すくらいなら一眼いらないまであるのだ。
そう記録に残すだけなら。
これは賛否両論ありそうだが、個人的な感覚だと、iPhoneで撮った写真はやはり
記録に残っても記憶に残らないものだ。
写真は単純に描き出される画質や構図だけでなく、その時の気合や思い入れと一緒に思い出として記憶されるものだと思っている。その点気合を入れてしっかり構えて撮る一眼の方が優れていると感じる。
この辺の完成はもはや古臭いのかも知れないが、人間の習慣というのはそう簡単に変えられないものだ。
そういえば発売当初、XRのカメラだってそれなりに優秀だった筈だが、この4年iPhoneで写真何枚撮ったけ?それが答えな気がする。
しかも円安の流れの中、新型iPhoneはべらぼうに高い。
充電口がUSB-Cじゃないし、良く考えれば飛び出しているカメラ部分もデザインとして気に入らない。
携帯端末は日々最も触れるものだし、折角高い金出すなら欠点なく気に入ってる物を使いたい。
iPhoneの更新は今回はスルーすることにした。
そんな中ノーマークだったが、俄然気になって来たのがアップルウォッチウルトラだ。
アップル肝入りのアウトドアデバイスであり、強靭さが売りとの口上。
登山やダイビングとアウトドアシーンが多い身としてはひじょーーに心惹かれる物がある。
そして、散々考えたり悩んだ挙句、こいつが送られてくることとなった。
冒険の時間です
アップルウォッチはシリーズ1が発売された2015年から気にはなっていたが、いくつかの問題点から自分のライフスタイルでは実用性はないだろうとの感覚からずっと見送っていた。
課題として感じていたのは主に以下のポイントである。
- 短すぎる最大駆動時間18時間
- 小さすぎる画面サイズ38mm/41mm
- 心配な耐久性(ケースがボロボロになる!?そもそも極地に連れていけるのか)
1.短すぎる駆動時間
先ず短すぎる最大駆動時間は山屋としては完全にアウトである。
どんなにファンシーな見た目の素晴らしいデバイスでもそれが電子デバイスである限り、電池切れになってしまえばただの重りである。
1日は24時間ある。その点、最大駆動時間18時間はだいぶ心配である。一泊の行程はアウトであり、普段もバッテリー残量を気にしながら生活しそうであると感じた。
これでは登山や旅行中はおろか、普段使いでも怪しい。
2.小さすぎる画面サイズ
普段の生活では通常の時計で事足りているが、アップルウォッチの強みといえば画面上でアプリが操作出来るスマートウォッチであるという点であろう。スマートウォッチで言えば他にGarmin等もあるが、本体のデザイン性、アプリの連携などを考えるとやはりアップルウォッチが圧倒的に強いと感じる。
アップルウォッチでほとんどの操作が出来てしまえば、重くて邪魔なスマホを片手に歩き回るような生活からは解放されるのだ。
が、しかしだ。それはアップルウォッチ上で使いたいアプリがストレス無く快適に使えることが前提である。
ここで課題になるのが小さい画面だ。
アップルウォッチを購入した場合、最も使いそうなアプリは地図であるが、画面が小さいと極めて見にくい。
そして画面が小さいと誤操作も増えてストレスが溜まりそうである。
3.心配な耐久性
シリーズ1発売時点ではケースの素材はアルミ一択であった。その後シリーズ2以降ではステンレス素材が追加されることになるが、耐久性が心配である。
アルミは金属の中では軽く柔らかい性質を持つ。軽いのは歓迎だが、アウトドアシーンが多い自身の使い方では派手にぶつけて凹ませる未来が見えた。
ステンレス素材であっても、アップルウォッチでは光沢感あるデザインで初代iPhone3よろしく線傷だらけになる気がした。
ケースの上に更に保護ケースをつけるという選択肢もあるが、そもそもそこまでして欲しいアップルウォッチではないし、デザインが不細工になるし、いろいろ本末転倒な気がする。
そして、バッテリー話にも繋がるが、そもそも極地で使うような仕様になっていない。
アップルウォッチは都会でオシャレに使うものなのだ。
よって、自分としてはアップルウォッチはなんとなく気になるけど、まあ、使わないよねという判断を下していた。
そんな中、今回彗星の如く現れたのがアウトドアでの使用を全面に押し出したアップルウォッチウルトラだ。
山屋目線でアップルウォッチウルトラの気になる特徴は以下となる。
- 長い最大駆動時間:通常使用時/36時間、低電力設定時60時間
- アップルウォッチ最大、49mmの大きい画面
- 軽くて頑丈、チタニウムケース
- 100m耐水、IP6Xの防塵性能
- 動作温度-20~55℃
素晴らしいの一言である!
長い駆動時間、操作しやすい/見やすい大きい画面、圧倒的な強靭性、ガチの冬山でも安心な最低動作温度-20℃。欲しい機能がすべてある。
この他、専用文字盤だの、アクションボタンが追加されただのを省いても上記の元々アップルウォッチに対して持っていた課題感を全て満点以上で回答してくる出来である。
唯一最大駆動時間だけは通常使用時でも60時間を目指してほしかったが、36時間もあれば日常使いや一泊程度の山行なら先ず問題ないだろう。
正にアップルウォッチウルトラはアップルが主張する通り冒険家の為の信頼出来るアウトドアデバイスとなりそうだ。
アップルよ、ありがとう。
これが我々が求め、待ち望んでいたものだ。
アップルウォッチウルトラ開封
そんなこんなで我が家に無事到着した秘密兵器アップルウォッチウルトラを開封していく。
見よ!この純白なデザイン性高い外箱を!
テンションが高くならざるを得ない笑
新しいおもちゃを箱から出す時ってなんでこんなにも楽しいんだろ。
箱の裏にには49mmワンサイズとある。アップルウォッチウルトラは49mm画面サイズのみの展開である。
大きく見やすい画面、素晴らしい。
箱を開けると一瞬びっくりした。
箱の内側では荒波がデザインされており、本機が極限状態での使用を想定された物だと教えてくれる。
雰囲気を盛り上げるじゃないか。
中身はいつものアップル製品の洗練されたシンプル仕様。これだけ。
右側にはアップルの所在地であるカルフォルニアの緯度と経度が示されている。
細かくいろいろ演出し、気分を盛り上げてくれる。
中身は充電ケーブル入っている。箱の中身はこれとアップルウォッチウルトラの本体のみのシンプル構成だ。
アップルウォッチウルトラ本体とご対面!
バンドをつけてないと時計以外のものに見える。
無駄がない洗練されたデザインで非常に満足度が高い。
画面がフラットなのも素晴らしい。
2022年今日時点で、アウトドア向けスマートウォッチでこれ以上のデザインはないだろう。
裏側には各種センサー類。
アップルウォッチの大きな強みはヘルスケアアプリと連動し、睡眠や運動、心拍など日々の健康をサポートしてくれる点にあるが、正直購入に当たってはあまり重視していなかったが今後掘り下げていきたいと思う。
アップルウォッチウルトラのバンドの選択肢はアルパインループ、トレイルループ、オーシャンバンドの三種類ある。
その中で今回はオーシャンバンドを選択した。
選択肢の中でオーシャンバンドのみエラストマー素材(ゴムみたいな質感)でそれ以外は布系の質感であり、ダイビングなど水回りでの使用がありうる点、登山でも汗をかきやすい点などからこれを選んだ。
ただ、日常使いで日々肌に触れることを考えると布系質感の方が心地よいかもしれない。このあたりは好き好き。
ちなみにアップルウォッチを既に持っている人はこれまでのバンドもそのまま使えるらしい。
中身はこれまたシンプルにバンドと留め具、それと簡単な取り付け説明書のみ。
留め具はしっかりバンドの穴の中に刺さなければいけない。ここは少し間違いやすい。
シーンに合わせてバンドを変えていくのも楽しそうだ。アップル純正はいちいち高いが笑
腕に装着して初起動!感動の瞬間である。
諸々iPhoneとの連携やら、クレジットカードの設定やら終えて、iPhoneと同期。15分くらい時間がかかった。
アップルウォッチで決済出来るのはいいな。SUICAや町中での使用など、iPhoneを取り出す機会が減りそうである。
因みにiPhone側のiOSが最新の状態でないと連携は出来ないらしい。
直近ではiOS16がリリースされたばかりであるが、未だの人は注意が必要。
こうして始まったアップルウォッチ生活、今後はアウトドアでの使用感を中心にいろいろ記事で「実際どうなの!?」というところを紹介していきたい。
早く山に連れていきたいものである。
ウルトラ購入にあたり悩んだポイント
最後にアップルウォッチウルトラ購入において悩んだポイントに関して書き記しておきたい。
1.大きすぎるサイズ感
アップルウォッチウルトラが49mmというアップルウォッチ史上最大のケースサイズとして発表されて以降、ネットやYouTubeなどの反応を見ていたが、皆懸念点として挙げていたのがデカすぎるんじゃないかという問題である。
この点、ブログ主は身長185cm、体重100kgの大山男である為、まあ問題ないだろうなと踏んでいたが、実際に装着してみてもやはり問題無かった。むしろちょうどいいくらいのサイズ感である。
49mmのケースサイズは操作性や視認性に直結する強みでもあるので、むしろ大きくて嬉しいくらいだ。
これがアップルウォッチ8と同じ45mmだったらおそらく買わなかった。
嫁ちゃんの腕に装着した場合のサイズ感。
確かに小柄な人にとっては確かに大きく感じるかもしれない。
上述の通り、操作性、視認性とのバーターなので好み+用途に合わせてということなのかもしれない。
余談だが、今回のアップルウォッチウルトラでは49mmの大型ケースに合わせてウェイファインダーという新しい専用文字盤が用意されている。
デジタルクラウンを回すことで設定できるナイトモードも非常にかっこいい。
2.従来のアップルウォッチに比べると重い
これも良くネットで指摘されているが、アップルウォッチウルトラは従来のアップルウォッチに比べて重い。
例えば最新機種同士での比較で言えば、シリーズ8(45mm)のアルミケースが39g、ステンレスケースで52g、小型のSE(44mm)が33gなのに対して、ウルトラは61gと重い。
腕時計は毎日つけるものであり、重いとつけるのが億劫になるため、重量は非常に重要であり、悩ましいポイントであった。
更にアウトドア、特に冬山登山でも装備重量がギリギリまで軽くするのが定石である為、たとえ1gでも惜しいものだ。
しかし、最終的に山屋にとって60gなどなんのこれしき、全く恐るるに足らずとの判断から購入に至ったわけだが、実際に着けてみてやはりこれも杞憂だということが分かった。
全く重くなかった訳である。
確かにアップルウォッチ同士での比較だと重めであるウルトラだが、ここで普段着けている時計と比較してみる。
先ず、今回のアップルウォッチウルトラ、バンド込みで重量96gである。
装着感はぶっちゃけ重量を全く感じない。
次にプライベートでも勝負でもマルチな活躍を見せてくれるカルティエ/バロンブルー先生。
金属バンドも相まってなんと1.5倍増しの148g。
続いてこれまで旅行や町中でつけることが多かったLUMINOX6500。
頑強さが売りでミリタリーデザインがかっこいい。
圧巻の222g!アップルウォッチウルトラ2つ分以上の重量感である。
最後に水回りに行くときに着けているG-SHOCK3403。
75g!これは軽い。
結論として、G-SHOCK3403の圧倒的な軽さを除いて普段着けている時計はどれもアップルウォッチウルトラより重かったのである。
なので、少なくとも自身の使い方ではアップルウォッチウルトラの重さは気にならないどころか快適に過ごせるであろう。
3.高すぎる値段
アップルウォッチウルトラの値段は124,800円である。
10万円越えの腕時計。おいそれと軽いノリで買えない代物である。
がしかし、これまで紹介してきた通り、アップルウォッチウルトラはアウトドア使用でのメインデバイスになりうる圧倒的なポテンシャルを持った製品である。これ一本があれば冒険の心強い相棒になってくれるであろう。
更にダイビングをする人にとってはそもそもダイビングコンピューターの上位機種が5-10万円という値段である。
有難いことにアップルウォッチウルトラはダイコンとしての機能も有している。
アウトドアデバイスとしてのポテンシャル、美しいデザイン、アップルウォッチのお家芸とも言えるアプリとの連動を考えると124,800円は十分リーズナブルなのではと感じる。
安くないのは間違いないが、十分に価値があるものである。
この辺りは実際の使い道によるのだろう。
街使いでは間違いなくオーバースペックで無用の長物だが、冒険するには是非お薦めしたい逸品である。
悩むことは非常に楽しいことなので、この記事をここまで読んで頂けた皆様には是非大いに悩んでそれぞれのアウトドアライフを楽しんでいただけたらと思う。
では、また!