夜の熱海の不思議な魅力
茜色に染まっていく空は懐かしい街並みと共にどこかノスタルジーを感じさせエモーショナルな気持ちにさせる。これも旅先で出会う普段とは違う情景の一幕なのだろう。
18時には閉まる商店街は「早い!」と感じたが、逆に普段住む場所と流れている時間の違いであり、新鮮さを感じた。
この日は快晴とは行かなかったが、雲の切れ間から見える月が情緒を感じさせる。
駅前商店街は新しいテナントが入り若者向けに刷新されていくのを感じるが、少し街の奥に入ればいつもの熱海で変わらない。
人も少なく、静かな中自分の足音だけが聞こえる。
まあ、街がいっぺんに全て変わってしまうようなことなどあり得ないが、新しさの中にもどこか懐かしさを感じたのが今回の熱海旅行である。
来宮神社の夜
夜の来宮神社に再訪してみた。
日本の神様は17:00には帰ってしまうと聞いているが、ここ来宮神社は17:00-23:00の間「the Kodama Forest Project」と称して140個の明かりを社の草木に宿る木霊に見立てたライトアップがされている。
夜の来宮神社は昼間と打って変わって人も殆どおらず、幻想的なライトアップの中、幽玄な雰囲気を楽しむことが出来る。
カフェで相当オシャレさを上げて来ていたが、夜にはライトアップとは、やるな!来宮神社。
夜のサンビーチへ
夜の来宮神社を参拝した後は海辺までまっすぐに伸びる熱海銀座商店街を通り、サンビーチに足を向けてみた。
20:00、流石にこの時間帯だとごく少数の居酒屋、パチンコ屋や夜のお店以外は殆ど閉まっている。
お世辞にも盛り上がっている観光地とは言い辛いが、気分転換したり、ゆっくりいろんなことを考えていく隠れ家的な使い方をするにはこのくらい枯れた方がいいのかもしれない。
熱海銀座を10分も下れば海辺に到着する。
夏の昼には多くの海水浴客で賑わうが、夜の静かなビーチも良い。
ビーチはほぼ無風で季節は秋であるにも関わらず肌寒く感じることは無く、多くの若者がお酒片手に青春を謳歌していた。コロナ禍で人とのオフラインでの繋がり少なくなっていく中、こうした友と過ごす時間はとても良い思い出となるのだろう。
過去の自分の姿に重ね合わせ懐かしくも微笑ましい気持ちになった。
ビーチを望む散歩道は明かりもあって治安面でも比較的安心出来そうだった。
派手にライトアップされたヤシ並木。何も考えずに歩くだけでとても楽しい。
繰り返す波の音、いくばくかの談笑音以外はとても静かだ。
渚親水公園ムーンテラス。次の冒険を待つヨットが休んでいた。
今日はここまで、旅館に戻り熱海の初日を終える。
源頼朝決起の地、伊豆山神社
2日目の朝、熱海にあるもう一つの有名な神社として伊豆山神社を参拝してみた。
伊豆山神社は海抜170mの小高い丘の上に鎮座し、全国に点在する伊豆山神社や伊豆神社、走湯神社の総本社とのこと。
伊豆山神社に至る参道のほとんどが階段。本殿から800段下には走湯神社があり、温泉の神様が祭られている。
目立つ手洗舎は赤白二龍。
赤龍は火の力、白龍は水の力を操り、二龍合わせて温泉の守護神を現す。
伊豆山神社は平治の乱後、伊豆国に流浪の身となっていた源頼朝が源氏の再興を決起した場所。江戸時代には伊豆大権現と呼ばれ、徳川家康も参拝に訪れたという。
北条政子と結ばれた地として有名であり、縁結び、夫婦円満等のご利益があるとのこと。
流浪の身になりながら、放浪先で嫁を見つけてくるとは頼朝公さすがといったところである。
派手さはないが静かな力強さを感じる本殿。
上述の通り源頼朝と北条政子のロマンスで有名であるものの、本来は強運、天下取りの神として有名。
境内からは伊豆の海、相模灘を一望できる。
様々な場所を巡った今回の熱海の旅もいよいよクライマックスへ。
後編へと続く。