鍋は良い。国境を超える美食である。
味の染み込んだ具材は文句なしに美味しく、みんなで囲む鍋は雰囲気も楽しい。
中国でも鍋は会食の定番であり、寒い東北地方のみならず全国で大人気だ。
そして中国人が鍋と言えば多くの場合火鍋であり、中国本土では当然のように大小各種の火鍋店が群雄割拠している状況。
その中でも個性的な接客方針で独自の地位を築き飛ぶ鳥を落とす勢いで勢力拡大中なのが今回紹介するハイディーラオである。
ハイディーラオは1994年、火鍋の本場四川省で創業された本格火鍋チェーンであり、日本上陸は2015年、1号店は池袋に。
当時の在日中国人はこの快挙に嬉し涙が止まらなかったそうな。
本格火鍋が中国に行かずとも日本で気軽に楽しめる。
いい時代になったもんである。
今回は海底撈火鍋海浜幕張店にお邪魔させて頂いた。
巨大なイオンモール幕張新都心1階に入居しているお店だ。
それまでの火鍋店とは一線を画す清潔でスタイリッシュな店構え。
本国でもちょっと高級な火鍋店という位置付けである。
セットメニューは2種類のスープを選ぶことが出来る。
キノコスープ・昆布スープ・トマトスープは無料。麻辣スープ・高菜漬スープ・中華風豚ガツスープは追加料金。
折角の火鍋なので、トマトスープと本番の麻辣スープをチョイス。
麻辣スープの辛さを選ぶことが出来るが、本格火鍋だけあって選択肢を間違えると食べれないくらいの辛さの物が来るので初心者には普通か優しめの辛さをおすすめしたい。
つけダレはタレエリアにある様々なタレや薬味を組み合わせて自分で作るスタイル。
様々な作り方のアレンジが紹介されており、いろんな味が楽しめる。
その中でもオススメなのが現地で最も一般的なゴマダレベースのものとオイスターソースをベースとしたもの。
特にゴマダレは辛すぎる火鍋を中和してくれる作用があるので非常に重要である。
食材の到着を待っている間、定員さんがスープを作ってくれた。
ハイディーラオの特徴は接客にあり。
「変態的接客」とも称される客を徹底的にマークし、喜ばせる接客はハイディーラオならではだ。
ハイディーラオの特徴は徹底した従業員主義であり、社長の張氏曰く「従業員は家族と同じ」。
こう聞くと日本ではブラック企業の口上であるが、実際に同店の人件費は原価の25%以上と割高であり、従業員の入れ替わりによるコストを抑え、安定したサービスを提供している。
本土では客が蚊に刺されれば虫刺されの薬を渡し、メガネが湯気で曇ればメガネ拭きを提供、カップルがケンカすれば花とメッセージカードを手に仲介するという徹底したサービスぶり。
脅威のリピーター率98%を叩き出している。
閑話休題
タレエリアには新鮮なフルーツも置いてあり、こちらも食べ放題である。
今回は1890円のセットで10種類食材が選べるものだったが、二人分頼むと机一杯になる。
グツグツと煮える麻辣火鍋。
辛さは普通を選んだが十分に辛かった。
ゴマダレの助けが無ければ大変なことになっていただろう。
サービスとして時間によっては変顔ショーも上演されている。
食事にエンタメに至れり尽くせり。
セットには食後のミニケーキもつく。
大満足である。
それで終わる訳もなく、ライチもあるよ!
なんら不満を残すことなく「本当にもう大丈夫です」と思わせるまで徹底的に満足させるのがいかにもハイディーラオらしい。
人数単価で2000円弱で火鍋はさほど安くは無く、食事の量で見ればおかな一杯火鍋を存分に楽しめるという感じではない。
一方で本場中国らしさの中で値段以上に感じる最高のサービスを受け、楽しく思い出に残る時間を過ごしたいならハイディーラオは非常に良いチョイスであると感じる。
中国慣れしていない日本の友達に紹介すれば「中国って今こんな感じになってるの?」と話題に事欠かないし、大事な人との会食でも間違いない接待をしてくれるだろう。
ハイディーラオは未だ日本では知名度は低いと感じるが、流行ればあっという間に予約が埋まってしまい、行きづらくなるので、今が逆にチャンスで中国火鍋の最前線を世の中に先んじて楽しんで頂ければと思う。
では、また!