2023年末、南锣鼓巷の朝
2023年12月29日、北京快晴。
怒涛の上海トランジットを経て、ようやく北京に到着した翌朝、とりあえず街を散策したくなった。
北京で散歩するのに最適な場所と言えばここ、南锣鼓巷である。
様々な新進気鋭な店が乱立しては、おっと思わせる新しい驚きを届けてくれるこの場所は、駐在時代何はなくともふらっと立ち寄ったものである。
かれこれ5年になるが、街の雰囲気はそのままで安心した。
そこは、悠久の歴史が流れる北京、表面的な物は変わっても、本質は常に不変なのである。
四合院の前に鎮座する抱鼓石もそのままである。飾りに彫られた竜や獅子は吉兆を齎すという。
新しいお店を発見!
時代に流れに乗って、VRフライト体験を提供するお店という。
中国でのビジネスはかなりスピード感があり、流行りものはすぐ商売として街に実装されていく。
その分、潰れていなくなるのも早いのだが、この素早いトライアンドエラーがこの国に活力を与えているのだろうなとつくづく感じる。
救済措置が殆どない中国にあってビジネスを失敗すれば塗炭の苦しみを味わうことになるが、その分膨大な人口を誇る巨大市場である。成功すれば夢は大きい。
世界中どこにでもあるだろう願掛けスポットの北京版を発見。
ハートの絵馬が可愛いが、奥の金龍がこちらを睨みつける。
内側はスモークが常時焚かれていて独特な雰囲気だ。
近くで見てもなかなか写真映えしそうなソリッドカラーな色合い。
しかし、この金の龍、独特のセンスである。
街歩きをしているとお腹が空いてくる。
昨日までは移動続きで体が有事モードだったが、ここにきてようやく落ち着いてきて、普通に空腹を思い出すのである。
北京B級グルメ散策
さて、何を食べようか。
南锣鼓巷に来たならやっぱり楽しいのは食べ歩きである。
ここではマニアックな「小吃(B級グルメ)」も一同に会し、おおよそ日本の中華街等ではお目にかかることのない、とても魅力的なラインナップを形成しているのだ。
北京を代表するB級グルメといえばこの煎餅!
サクサクの揚げシートを甘辛ソースに絡め玉子が入ったパイシートで包んだ病みつきの味だ。
オプションで5元を足せば、ソーセージも具に入れてもらうことができる。
小さい頃から食べ続けた思い出の味でもあり、変わりゆく街並みの中にあっても変わらない食文化がここにはある。
大きく変わったものとしてはやはり物価だ。
当時はひとつ1元と記憶していたが、今回はなんと驚きの25元も(日本円換算500円弱)したのである。
中国の物価が90年代当時とは比べ物にならないくらい高くなっていることに加えて、ここ南锣鼓巷プレミアムが付く。
そう、南锣鼓巷はB級グルメがなんでも揃いはするのだが、その殆どが観光客プレミアム値段に設定されていて、コスパで言うとあまり褒められたものではないのだ。
が!お金を気前よく支払うのも観光客の務めじゃないか。
円高に涙しながら、美味しい煎餅を楽しもう。
もう一つ、外せない絶品B級グルメを紹介したい。
この煎粉である。
芋粉を固めた粉物を熱々の鉄板で炒め、焦げ目がついたところでゴマとピリ辛唐辛子のソースで頂く間違いようのない逸品だ。
どちらかと言うと天津や大連のB級グルメのような気がするが、見つけたら必ず食べたいほどの美味しさ。
鉄板いっぱいに炒められたそれは見るからに美味しそうだ。
しかし、ここでも南锣鼓巷プレミアム価格がもろに反映され、20元も取られて涙した。
他にも様々なB級グルメがあるので、南锣鼓巷に立ち寄った際には是非自分のお気に入りを見つけて欲しい。
きっと旅に彩りを添える楽しい体験になるだろう。
物価以外は。。。
煎餅と煎粉をお腹に納めてもはや満腹の筈が、引き続き街を散策していると、何やらとてもきになるB級グルメを見つけてしまった。
「张飞锅盔」とはなんだろうか?
張飛とはいわずもがな三国志の大英雄だが、何が関係あるのだろうか。
2018年当時にはなかったどうやら新しいB級グルメだ。
既に腹八分でちょうど気持ち良い感じだが、なんだかとても美味しそうなので挑戦してみることにする。
具入りの薄ナンのようで、おすすめは牛肉味だ。
さくさく食べれるスナックのような感覚だ。
歩きながらいくらでも食べれそうだが、お値段は25元。。。
もう値段のことは忘れるしかない。ここは南锣鼓巷なのだ。
南锣鼓巷から什刹海へ
気持ちの良い日差しに照らされてながら、様々なお店を覗いては食べ歩きを繰り返すと、南锣鼓巷の先には什刹海が広がる。
ここはまた一つとても広い散策エリアなのだ。
冬の什刹海は湖が凍り付き、巨大なスケート場が出現する。
日本では見る事の出来ない規模であり、多くの市民が北京の冬の風物詩として楽しんでいる。
南锣鼓巷と什刹海を真面目に回ると丸1日かかるくらいの規模となる。
このコースは新しさと古き良き北京が入り混じる絶好のお散歩コースで北京にきたならば何はなくとも訪れてみることをお薦めする。
故宮のような大型箱物観光地もいいが、現地市民の生活に溶け込むことでより一層旅らしさを満喫できるのだ。
5年ぶりの北京、初日でもう早速気分は北京市民だ。
北京探検の旅は続く。