2020年初北京アイスクライミング

「2020年初北京アイスクライミング」のアイキャッチ画像

家の装備棚を見ていると、この時期やはりアイスクライミング をしたくなります。

スキーに比べると若干華が無く、黙々とやる朴訥な感じがとても好きです(笑

ということで、2019年末から2020年初にかけて中華人民共和国北京郊外でアイスクライミング をすることにしました。年初めは氷壁から!

トラベルコちゃんから一番安い航空券を予約して羽田から約4時間の飛行機に揺られて北京へ。

北京郊外で1年ぶりに会う25mの大スケール人工氷壁は実家のような安心感です。

2018年の冬、初めてのアイスクライミング でビビりながら、必死でこの壁に食らいついていた思い出が蘇ります。本格的に登山を始めよう!と思ってから僅か3ヶ月でした。

そもそも、とあるきっかけからエベレスト登頂!を目的に初めた登山で、当時北京に住んでいたので、先ずて初めてどこか近くの山でと、北京市最高峰霊山(2303m)に登ったのが2018年9月。

初めての本格登山は想像以上に大変でしたが、苦労の先に得る達成感に登山熱が爆発し、「エベレストに挑むならアイスクライミング の技術は必須では!」と思い、周鵬先生の門を叩きました。

「アイスクライミング はとにかく危ない」「アイスクライミング は落ちたら終わり、良くて大怪我、悪くて御陀仏」と多方面から脅されていたので完全にビビっていましたが、ここで後ろに引いてはエベレストの夢など実現不可能と自分を奮い立たせて応募しました。

そして、思えばこの後続く、全ての登山ストーリーはこの一枚の氷壁とそれに挑む仲間達、周鵬先生、そして「周鵬虎ノ門」から初まりました。

おそらく今後このブログに何度も登場する周先生と彼の「周鵬虎ノ門」について少しだけ解説します。

周鵬先生は2012年アジアピオレドール受賞者であり、中国登山界のレジェンドです。

この頃、中国では強力な経済成長を背景にアウトドア・登山ブームが到来していますが、技術的に未熟な登山客による観光登山がメインであり、多分にガイドの力を借りて殆ど接待登山で山頂に到達するのが実態です。

山は自らの力で登るべきであり、山をリスペクトしながら挑戦してこその登山だと考える周先生はこの状況を変え、中国山岳会の発展へ寄与するべく自ら立ち上げたのが周鵬虎ノ門(私が勝手にそう呼んでいるだけで、正式名称は「興攀 Xiang Pan」です)です。

日本でもそうかもしれませんが、登山界自体そのほかのスポーツやアウトドアジャンルと比較するとスモールコミュニティーであり、登山協会や登山学校は一応あるものの、基本的に技術は人から人への伝承になるかと思います。周鵬虎ノ門も例に漏れず生徒を限定したものですが、幸運にも友人経由の繋がりもあり、周先生の門を叩くこと叶いました。中国で、否、世界でトップレベルの山屋である周先生から直接教えてもらい、極めて意識の高い登山仲間と切磋琢磨するチャンスを得れたことは私自身の登山キャリアで最大の幸運と感じています。

翻って2019年アイスクライミング 同期一同。氷壁に熱き闘志を滾らせる狼兄弟達です。10人中、アイスクライミング 経験者は自分を入れて3人でアイスクライミング 初体験な人が大部分です。

去年は登攀の基礎的な技術習得を目的としたアイスクライミング 初級のクラスに続けてリードクライミング、ビレイステーション構築、懸垂下降まで学ぶ中級クラスまで続けて受講しましたが、今回は時間の制約もあり初級のみ。とはいえ、昼間はひたすら氷壁を登りまくり、夜は座学の授業と濃厚な3日間です。

慣れから生まれる心の緩みを締め直し、基礎から復習しなおします。

今回のアイスクライミング で使うアイスアックは去年からの相棒、ブラックダイヤモンド社のリアクターと今年新たに投入したぺツル社のクオーク。

クオークは軽すぎて氷への刺さりが若干弱く、アイスクライミング だけならやはり重量感のあるリアクターの方が使いやすく好印象でした。ただ、クオークは杖やビレイとしても使える為、山に持ってくならやはりクオークという選択肢になるかと思います。

アイスクライミング 初級は先ずはアックスの振り方から。振る①方向、②速度、③角度が重要となります。

次に足の使い方。氷壁に如何にアイゼンを水平に刺すかの練習です。かかとを少し上げ気味にし、前縦爪2本をしっかり氷面に刺していきます。両足は基本的に平行に置く感じで。

周鵬虎ノ門は基本的に登山上級者(受講生には登山ガイドも多数在籍)を対象としたコミュニティーなのでレッスンスタイルも基本的に超ドS。学ぶより感じろ。登山は自分と山との1対1での向き合い。先ずは自分でどうしたらいいのか考えろというもの。

山の現場ではそもそも頼れるのは究極的には自分一人であり、登山とは元来高リスク。それに大して自己責任で挑戦するもの。だから、他人に頼るのではなく、自分で考え難局を突破する力を身につけよとの教えです。

全くアイスクライミング をやったことない初心者でも口頭で少し教えて、いきなりビレイをやらせます。グランドビレイをスクリューで取ってるから大丈夫(爽

この北京郊外の氷壁は高さ25m程ですが、いきなり登らせます。トップロープだし、落ちても大丈夫(爽ところどころぶつけて痛いかもしれないけど、死なないから大丈夫(爽

さすがにバーティカルはありませんが、所々垂壁や難所も多く当然初心者は最後まで登れないことが殆どです。日本人が来たら先ず間違いなく「初心者にいきなりこんなところ登らせるのかよ!」と思うでしょう。が!先ずはチャレンジして壁にぶつかった時どうするべきか考えろという教え方です。

一見放任主義のように見えますが、煮詰まってどうしようもなくなったら先生がしっかりフォローしてくれます。私はこの自由で独立性が高く、それでいて結局優しいこのコミュニティーの雰囲気が大好きです(笑

中級クラスを習得し、リードが出来るので調子に乗って変なポーズを取ってしまいました(笑

いつも通りダブルエイトノットでメインロープをクライミングループに結び(ロープ残しはロープ径の10倍以上)、トップロープクライミング開始!

「初級の壁なんて余裕だぜ!」等と謙虚さの欠片も無く登り始めたのですが、1年やってなかったこともあり動きはグダグダですね。思うにアイスクライミング は足の使い方が一番難しいです。

氷壁が真っ平なことなんて殆どなく、実際にはシャンデリア状になっていたり、穴になっていたりしますが、どんな状況でも足を水平に置き、次のアックスを打つための体制を整えるというのが予想以上に難しいです。氷の状況は千差万別なのでこれはもう登りまくって経験を積むしかないと思います。

3日間を通して1年の間に忘れていた技術や感覚を大分取り戻しました。ドSの周鵬虎ノ門らしく1日15本登り、3日の45本も登りました。腕と肩は筋肉痛でパンパンです。

やはり考えるより慣れろですね。初日は登りきりこそしたものの体のバランスが大分悪く、足の置き方も怪しかったのですが、3日目には大分慣れて比較的自分の意思を氷壁に反映することが出来たと思います。時間の制約がなければ後2日は登っていたかった感じです。アイスクライミング はやっぱ楽しいですね!

因みに昼間は氷壁の側で近くの民宿から届けられるお弁当をみんなで立ち食いです。鍋いっぱいの具材をみんなで分けるので動きが遅いと白米だけを食べる羽目になります(笑 山屋は昼食時もサバイバルです!

夜の座学の授業では昼間の登攀の問題点の解説、ロープの結び方の講習、リスク管理の仕方、装備の解説を行います。

朝8時から登り始めて、夜授業終わるのが大体10時とかなのでかなり濃厚ですね。

この北京郊外の氷壁は市内から車で2時間とアクセスがしやすくとても便利です。北京はそもそも冬が寒いのでアイスクライミング はしやすいです。北京市民はっきり行って羨ましいですね。

日本ではアイスクライミング をしたことはないですが、今年の冬はまだあるのでどこか東京近郊で出来るスポットを探してみたいです。そもそも北京に比べて東京は大幅に暖かく(5−10度くらい違う)、且つ今年は暖冬らしいですが、どこかに氷が残っていることを願って!

もしどこかの氷壁でお会いすることがあれば宜しくお願い致します。では!

注記

  • 登山はハイリスクなアウトドアジャンルとなります。
  • その中でもアイスクライミング は殊更にハイリスクです。
  • 登攀対象と自らの実力を良く鑑みて、楽しく登山活動をされることを願います。
  • 尚、上記記事の技術、登攀方法は中国での登山技術であり、日本で教えている技術とは違う可能性があります。
  • 上記記事は飽くまで私自身の登り方、山との向き合い方であり、何ら技術の伝承を目的としているものではないことご注意下さい。

この記事を書いた人

クリス

クリス

こんにちは!山屋のクリスです!海外登山メインで目標はエベレスト登頂です。ラグドールの鈴鈴先生と一緒に暮らしてます。登山や旅行、日常ネタを中心にブログをアップしていきますので宜しくお願い致します!

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