ニュージーランドへ行く!Part-6 聳え立つクック山:フッカーバレートラック編

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ビジターセンターで情報収集

Part-5から続きます!

午前7:00、ゆっくりとサザンアルプスの朝が開けていく。

アオラキ(クック山)とは、マオリ伝説の青年酋長の名前であり、天地創造の刻、アオラキと彼の兄弟が乗るカヌーが暗礁に乗り上げてしまった。彼らはカヌーの上に避難し、助けを待ったが来ず、そのうち石となった。

その時のカヌーがニュージーランド南島であり、兄弟達はサザンアルプスの山々となった。

年長のアオラキはニュージーランド最高峰の山として今もこの島を見つめている。

今日は昨日に引き続き、クック山山域調査を行なっていきます。

主目的はフッカーバレー氷河始点から見た、クック山全景の考察。

一方、そこに至るまでのトレッキングルートのフッカーバレートラックは地図によると片道2時間で午後出発しても十分間に合う感じです。

よって、午後の考察をより有意義なものにする為に午前中はビジターセンターで山域に関する情報収集を行うことにします。

ビジターセンターはクック山直下のクック山村の中にありますが、サー・エドモンド・ヒラリー・アルパインセンターの駐車場(無料)に車を止め、徒歩で向かいます。

クック山を見据えるエドモンド・ヒラリー卿。

シェルパのテンジン・ノルゲイと共に人類史上初のエベレスト登頂の偉業を成したヒラリー卿はエベレスト登頂前にクック山を登っています。

クック山には、氷、岩場、ミックス、クレバスがあり、標高を除いた総合的なトレーニングを行うには最適だったとのこと。

サー・エドモンド・ヒラリー・アルパインセンターから矢印に従って5分ほど歩くと到着でき、迷うことは少ないかと思います。

到着しました!こんな建物です。

入り口には先ず近日の詳細な天気図が掲載されています。

登山は天気が全てなので、トレッキングであったとしても山域に入る前にルーティンとして必ずチェックしましょう。

因みに赤色や紫になっているのが雨雲で、これを見ると2月6日本日は午前は雨脚あり。午後から少し晴れるとのこと。

明日、2月7日は全般的に天気が良く、いいアタック日和であることが分かります。

施設の中に入ると、日の出と日没の時間、更にそれぞれのルートのコンディションの最新情報があり、大変助かります。

クック山のトレッキングルートの難易度は簡単な順から大凡以下の感じかと思われます。

  • タスマン氷河ルート/往復1時間/タスマン氷河が見える最も短いルート。
  • キアポイントルート/往復2時間/クック山を遠目に見ながら歩く平坦な道。
  • フッカーバレートラック/往復4時間/植物に囲まれた美しいルート。クック山全景が見渡せる。
  • ボールハットルート/往復8時間/ガレ場がある本格的な登山道。クック山東壁登頂ルートが見える。
  • ミュラーハットルート/往復16時間/基礎的なクライミング技術を要する本格的な登山道。

この内、フッカーバレートラックが景色が最も美しく、難易度もちょうどいいので一般の方にはオススメです。

一方、ボールハットルート、ミュラーハットルートは本格的な登山となり、アックスやATC等の技術装備こそ不要ですが、一般的な登山装備は必須となります。

中へと進むと、クック山に関わる登山史と過去の登山装備が紹介されています。

昔のアイゼンですが、こんな装備で雪山アタックしていたなんて驚きですね!

1920年代、ジョージ・マロリーもこんな靴でエベレストにチャレンジしてたそうです。

ロープもなんと麻縄です!

クック山を攻めるエドモンド・ヒラリー。

エドモンド・ヒラリーは1948年1月30日にクック山登頂に成功しますが、この時代からダブルアックスってあったんですね。

これはグランド・プラトーから見たクック山山頂攻略ルート。

エドモンド・ヒラリーのルートは今もヒラリー・リッジと名前が残ってるそうですが、ほぼ直登ですね。

グランド・プラトーから山頂まで約1500mありますが、これをマルチピッチアイスクライミング するのは今の装備と技術を以ってしても相当しんどいと思います。

ビジターセンターは1Fと地下1Fの構成で、地下にもいろいろ面白いものが展示されてました。

これは氷河に関する模型。

山屋か地質学者でもない一般客がこれに興味を示すとは思えませんが、詳細に解説されており、復習になります。

そう言う意味ではビジターセンターは情報が濃密なプロ仕様で、「観光案内所」的な位置づけではありません。

こういう山に対する真摯な態度が好きです(笑

大昔のマオリ族の登山装備!

オールブラックスもびっくりの攻撃を重視した軽装ですね。

この時代の山とは正に神々が住うところで、登山などおいそれとするもんじゃ無かったんだと思います。

18世紀後半、近代登山開始当初の登山装備。

登山においても紳士服でオシャレを忘れない!当時の山屋達のエスプリを感じます。

山小屋(Hut)の紹介もありました。

海外勢からすると登山=冒険なので、山小屋も一部を除いて非常に簡素なプロ仕様であることが多いです。

日本の山小屋で飯がマズいだの、部屋が寒いだの文句を言ってる人がいたら今すぐ反省しましょう(笑

中には無線設備があり、遭難者を出さないために毎晩麓のコントロールセンターにどの山小屋に誰がいるか報告することが義務付けられているとのこと。

なんだかんだでビジターセンターに2時間いました。それほど内容が濃いです。

フッカーバレートラックを行く

午前中のビジターセンターでの調査を経て、フッカーバレートラックへ向かいます。

フッカーバレートラックもやはり80号線沿いにあります。ニュージーランドの道路は一本道が多いので迷うことは殆どないかと思います。

ホワイトホースヒル・駐車場から登山スタートです。少し曇りで気温は15度程。

山岳地帯なので、夏とはいえ冷え込むので防寒は確りしましょう。

登山開始地点はサインが出てて分かりやすいです。

また、フッカーバレートラックは一番人気のトレッキングルートになりますので人も多く安心感があります。

この橋を渡って登山開始。

開始当初は木々に囲まれ、指輪物語を彷彿とさせる美しいトレッキングルートです。

この丘の先から灰色のガンダルフが馬に乗って登場しそうですね!

程なくして一つ目の吊り橋に到着。

フッカーバレートラックは全部で3つの吊り橋を渡るルートでこれが一つ目です。

雲に隠れてますが、左手に見えるのがセフトン山。クック山は文句なしにヤバイ山ですが、セフトン山も見た感じクック山に勝るとも劣らない氷河+雪崩のヤバイ山です。

少し、晴れ間が覗いてきました。

道は整備されていてとても歩きやすいです。

自分が行く登山は大体、岩とか雪とかモノトーンなものが多いですが、このような美しいトレッキングルートを散歩するのも偶にはありですね。

2つ目の吊り橋に到着しました。

吊り橋の下には氷河から流れ出した白濁した川が流れていますが、まあまあな激流でした。

海外登山の自己責任の世界で立ち入り禁止とかはないですが、近く時は気をつけましょう。

遠くにクック山が見えてきました!

しかし天気が若干怪しいですね。

クック山を見ながら、植物の道を歩くこの箇所はフッカーバレートラックで最も盛り上がる箇所だと思います。

最後の吊り橋です。ここを抜ければ、クック山は近いです。

※写真を失念して後ろ向きに撮ってるのでセフトン山が見えてます。クック山は背後です。

最後のちょっとした砂利道を抜ければ・・・

クック山山頂と対峙する!

クック山がドーンです!!天気も少しだけ回復してきました!

やはり、ビジターセンターでの情報収集は重要です。

下にフッカーバレー氷河の縁も見えますね。

しかし、やはり天候は良いとは言えません。このコンディションで頂上アタックしてたら結構大変なことになっていたかと思います。

山頂から煙みたいなのが出てる時は大概強風凄まじい時で、今、上は風速30m/sくらいあるのではないでしょうか。

さて、この難攻不落のヤバイ山クック山をどう攻めようか。

今のところ、南壁から見る限り、やはりボールパス2200mからNazomiを抜けて山頂を目指すのが一番現実的に思えます。

しかし、このルートだと山を大小6つも越えなければならず、エスケープルートもないです。

悩ましいですね。

フッカーバレートラックの終点から小1時間ほど山を観察してました。

いつか絶対にチャレンジするクック山登頂!

不退転の決意!

帰りはビジターセンターの予報通り、快晴となりました。

天気が好転するとフッカーバレートラックは無類の美しさとなります。

フッカーバレートラックの入り口にはモニュメントが。

過去、ここがトレッキングルートとして整備される遥か以前から様々な登山家がここを起点にクック山を目指しました。

果てない夢を追いかけ、夢に散っていった、兄弟姉妹達よ。どうか安らかに眠れ。

クック山の圧倒的な美しさに名残惜しいですが、本日の調査はここまでとします。

煙立つセフトン山を背景にロッジに帰還します。

山屋のクリス、クック山と三度相見える!ボールパスルート意外の頂上攻略ルートはあるのか!魔の山クック山調査隊の行方や如何に!

Part-7へ続く!!