今年度の登り納め
アイスクライミングが無性にしたい!
それは時たま来る本能的な衝動です。
アイスクライミング は2018年から始めて、2シーズンみっちりやってるのですが、何も北京郊外の人工アイスクライミング 場で、自然界のアイスは未体験なんですよね。
本当のアイスは自然界にあり!
チャレンジしてみたい。。。
一方、今年暖冬だし、残された屋外の氷は僅か。もう最後のチャンスだと思うんですよね。
思ってしまったらもう行動するしかないです。
行きます!山奥に!
アイスクライミング のお話
おっと、その前にアイスクライミング の話を少しだけしたいと思います。
アイスクライミング とは、要は氷の壁をよじ登る行為です。
登山中にとんでもない氷壁に出くわし、本来なら迂回必須のルートでも直登できれば時間を節約出来ますし、何よりかっこいいですよね!
僕はヒマラヤ登山の為の技術習得として始めましたが、ハードルの高さと面白さは想像以上で現在ハマっております(笑
アイスクライミング装備高すぎ!説
先ず、アイス装備ってめちゃくちゃ高いんですよね。
トップロープでもまともに揃えようとすると確実に二桁万円で、リードなんてやろうとした日には50万円にかなり近い出費になってきます。
中でも一番高いのは順に靴、アックス、アイススクリュー、アイゼンの4点で、これらは冬山をやらなければ完全に回避出来る、言葉を変えれば冬山でしか使わない装備(アックスだけはドライやる人は使うかも)なので、夏山専業な人からするとアイスは殊更にハードルが高いものと思われます。
しかも、アイス人口自体少ない為か、道具を取り扱ってるお店が少ない。取り扱ってても売り切れている。種類が少ない。の三重苦です。
既に冬山やってる人は靴はあるのものの、アイゼンは横爪な筈なので、残りの3点は何れにしても買わなければならず、どちらも始める為のハードルはかなり高いと思って良いでしょう。
- ハーネス
- アイスアックス✖️2
- ATCガイド
- 防水グローブ
- 高山靴(ワンタッチアイゼン機構付き推奨)
- 縦爪アイゼン
- ロックカラビナ
- アイススクリュー
- クイックドロー
- 追加ロックカラビナ
- アバラコフ用補助ロープ
- アバラコフ用ロープフック
- プルージックコード
アイスクライミング やる場所が無い!説
しかも肝心のやる場所が近くにない(涙目
スキーだったら関東近郊でも素晴らしいスキー場がたくさんあり、「スキー行きたいな」「いいね!週末行こうよ!」のノリで行けます。
休憩に暖房の効いたレストランでカレーでも食べて、ノンビリしてたら素敵な恋も始まるかもしれません。
しかし、アイスクライミングではどうでしょう?
「ジュマンジ2でドウェイン・ジョンソンがカッコ良かったし、私もアイスクライミング やってみたいな♪」と思った貴女!ネットで調べるとガックリ来ると思います。
手軽に出来る屋内のアイスクライミング場等皆無。ウォーターアイスの人工アイスクライミング 場ですら、まともに2時間も登山した先にあったりします。それか、天然氷を大自然の中で探すしかありません。
重たいアイスクライミング用の技術装備を背負ったガチ登山です。
そして現場では暖房の効いた小洒落たレストランなんて物はなく、大概、極寒に耐えながらカップラーメンです!泥臭い現実へようこそ!(笑
OnePlay-it アイスクライミング 体験ツアーin 日光
それでもどうしてもどうしても体験だけでもしてみたい!ガチなアイスクライミング の技術習得ではなく、とりあえず映える写真だけ撮って雰囲気を出したいという貴女!
朗報です。令和は良い時代になりました!日光でなんと気軽に体験できるところがあるとです。
OnePlay-itさんが素敵なアイスクライミング 体験ツアーを開催して下さっているのでこの素晴らしいチャンスを是非利用しましょう。
僕も一度利用させて頂いたことありますが、体験にはちょうど良い感じでした!
素敵なスタッフさんが丁寧に基礎から教えてくれて安心できますよ!
こんな躍動感溢れる写真や・・・
こんなインスタ映えする写真が撮れちゃいます!大分ドヤれると思います。
アイスクライミング は危険!説
アイスなんて非常に危険極まりない、保険屋も逃げ帰り、仮に自分の子供がやってたら今すぐ辞めろと諭すレベルのファンキーなスポーツです。
トップロープですら落氷、ビレイステーションの崩壊(勿論万全を期して作るが、万全は有り得ない)のリスクに常に晒されますが、リードはスクリューやらアイゼンやらアックスのトゲトゲ装備で落ちたら最悪で、良くて重症、悪くてさようならです。
こうしてみると、アイスクライミング なんぞは大金叩いて危険な目に遭いに行くという到底まともな脳味噌の人間が考えることではなさそうなアクティビティだということが変わります。
だが、そこがいい!!
そこにシビれる!憧れる!
朴訥にただひたすらに、アックスとアイゼンの一つ一つの動作に全神経を集中させる。
それだけでいい。それしか求められない単純でリアルな世界。
氷にドン!と鈍い音で刺さるアックスの美しさ!
氷壁に爪先立ちするギリギリ感!
なんともマニアックな快感です(笑
今回の装備紹介
アイスをやりに行くには前述の通り、技術装備が必須です。
夏山みたいに気軽に行く訳には行かず、確り準備して挑みに行く感じです。
これまでの登山生活で徹底的に吟味して選んだ最高の装備群がこちら!!
メインロープはべアールの9.1mmゴールデンドライユニコア!
プロ御用達の今あるメインロープの中で最も軽く、防水に優れ、強靭である最強ロープです。
スクリュー部隊はブラックダイヤモンドのステンレス製をチョイス。
強度に優れ、レバーも回しやすい。
レバーが最後畳めるのがお気に入りポイントです。
アイゼンもブラックダイヤモンド製のサイボーグプロ。
頑丈で信頼できる素晴らしいアイゼンです。
普段の冬山登山もこれを使ってて、重いのが多少難点ですが、如何なる地形も越えていける信頼出来る相棒です!
爪先はヤスリでピカピカに研いでおきました!
アックス部隊は今回なんと3セット持っていきます!
左から日本人大好き!名作と名高いペツル社製クオーク!
今回新調したグリベル製ザ・ノース・マシーン!
自身の愛機、ブラックダイヤモンド製リアクターの3セットです。
今回はこのアックスの比較も行っていきたいと思います。
特に新調したグリベルのノース・マシーンへは期待感が高まります!
イタリア製品はやっぱりオシャレですね。これで性能も良ければ大満足です!
向かうは八ヶ岳!南沢大滝
始めての天然アイスとしてチョイスしたのは八ヶ岳、美濃戸口登山口からアクセス出来る南沢大滝。PグレードVです。
東京から程よく近くて、難易度も初めての天然アイスということで程よく簡単というのが選定基準です。
今回は天然アイスで近くに先生もいないので、自分でリードでロープを張りに行かなければなりません。調子に乗って難しい路線を選ぶと冗談抜きに地獄を見るので安全牌を選びました。
早朝4時に自宅出発して、6時には八ヶ岳SAに到着!日が明けてきました。
そのまま車で赤岳山荘へ!
赤岳山荘への道は全面凍結しており、チェーン必須なのでお気をつけ下さい。
駐車場から見える冠雪した赤岳がかっこいいですね!
駐車場で装備を組み直したら登山開始です!
駐車場から道なりに進み、この看板が見えたら右の南沢方面へ。
登山道もカチコチに凍っているので、アイゼンは最初から付けていきましょう。
八ヶ岳は以前からすごく気になっていたのですが、なんだかんだ初めての山域でテンションが上がります。
苔と氷が織りなす不思議な世界がそこにはありました。
そのまま登山道に沿って歩いて1時間15分程、美濃戸山荘と行者小屋のちょうど中間地点、写真のロープが見えたら跨いで進んだ先に南沢大滝があります。
この橋を渡ると行き過ぎなので戻りましょう。
いざ!南沢アイスクライミング
南沢大滝に到着しました!近くで見るとなかなかの迫力!
難易度は見た感じちょうど良い感じで初心者から中級の練習まで使えそうな感じでした!
しかし、この時、既に9:30で混み始めており、既に3 本ロープがかかっており、4本目も準備中。
やっぱりアイスは朝っぱらから行かないと場所取りが難しいですね。
ということで少しだけ来た道を戻って少しだけ空いてる南沢小滝を今回は攻めてみることにしました。
この日は結構暖かくて、氷が溶け始めており、緊張のリード。
左側が自分の作ったラインで、ビレイステーションを常時点検出来るように低めに設定しました。高さは10mちょいくらいで、今日はこれで遊ぼうと思います。
ハーネスを締めて気合が入ります。
なんだかんだで1年ぶりのリードで出来るか若干不安でしたが、なんとか大丈夫でした(笑
今回は安全を見て3点ビレイステーションを構築してみました。
スクリュー同士は60cm以上離して、カラビナの方向は逆へ。
スクリューゲートは確りとロックする。
一つずつの操作は単純ですが、疲れて忘れると後で自分が痛い目に合います。
自己責任、自己責任と唱えながら落ち着いて作業をします。
作ったルートは最初垂直の壁が続き、最後段差を乗り越えるといったスタンダードな物。
アイスクライミング の復習をするにはちょうど良い感じでした。
願わくば2ルート作りたかったですが、混んでるので自重します。
折角のアイスはみんなで楽しみたいので譲り合いですね。
氷壁の上から見下ろすとこんな感じ!なかなかの高度感です。
トップロープならまだ良いんですが、リードだと落ちたら終わりなのでなかなかシビれます。
隣では違うグループさんがリードの練習をしてました。ファイトー!
お昼ご飯は山屋御用達!詰替カップヌードル。
氷場で食べるカップヌードルは格別です!
アイスアックス打ち比べ
さて、今回は折角アックスを3セットも持ち込んできたので独断と偏見に満ちたレビューを行って行きたいと思います。
グリベル社製ザ・ノース・マシーン
先ず、結論から言うと、グリベルのノース・マシーンが個人的には1番好きでした。
こいつは何よりこの3つの中でダントツに軽い。そして、一般的に軽いアックスは氷への刺さりは微妙なことが多いんですが、サクサク気持ち良く決まります!
シンプルな中にもオシャレさを持つイタリアンデザインもイエローとブラックの配色も自分好みであり文句がありません。
更に、この大きい丸の部分、ハーネスの装備フックにかけ易くて最高です。大好きです!
今回新調したばかりですが、早速気に入りました。
氷壁がありうる登山で持っていくとしたらコイツ一択です。
ブラックダイヤモンド社製リアクター
第二位はBDのリアクター!
コイツは使い慣れてることもあるのですが、氷への刺さりが異様に良いです。
ドスン!と重い音と共にほぼ1-2回で極まります。
デザインもブラックとライムグリーンでなんともクールな印象。
少々重いのが難点ですが、アイスクライミングだけをやるならコイツがベストチョイスです。
ただ、アイスクライミングに特化しすぎたばかりに登山では仇となるハンドル型のグリップ。登山だとコイツは別にもう1本ピッケルを持つハメになりそうです。
使いやすいリアクターも流石に万能とはならず、人工氷壁なら最高なんですが、天然アイスだと選択肢から残念ながら外れる。
しかし、アイスだけで見るなら使い勝手は最高で本当にオススメです!
ぺツル社製クオーク
日本人ユーザーがものすごい多い名作と謳われる逸品ですね。
程よく軽くて、程よく刺さる優等生タイプとの印象。
使ってみて、可もなく不可もなくとの印象を受けました。
ネットで調べてみるとコイツを絶賛する記事が多いのですが、自分としては正直言うほどでもないかなとの印象です。
自分の使い方が悪いだけだと思いますが、氷へ刺した後抜けなくなることが多く(他の二つでは発生しなかった現象)、疲れてる状態で抜けなくなると萎えますね。
まだ、それほど使い込んだ訳ではないので、この先でもっと良さが分かるかもしれません。今回は残念ながらこの順位で!
一番お気に入りのノースマシーン、どの角度から見てもカッコいい!
流石イタリアン!
到着した時間が遅めだった今回のアイスクライミング でしたが、なんだかんだで10本くらいは登れました。大満足ですね。
最後はビレイステーションをバラして回収です。
アバラコフでダブルロープでの懸垂下降も久しぶりだったのでめちゃくちゃ緊張しました。
この時ばかりはシングルビレイポイントになるリスキーな瞬間です。
ドキドキしながらもなんとか生還し、ロープを纏めて帰路に着きます。
夕暮れ時の登山道は木漏れ日が柔らかく射しており、とても幻想的でした。
木に生えるちょっとした苔にも心を留めれる登山。
こうして都会で穢れきった心のバランスを取り戻していきます。
木々が織りなす美しいコントラスト。
冬山はやっぱ最高です。
17:00、駐車場に戻ってきました。
赤岳が夕日に赤く染まっていました。
赤岳山荘に泊まる
このまま日帰りで撤退しても良かったのですが、山の雰囲気を目一杯味わう為に今晩は赤岳山荘に一晩お世話になることにしました。
山荘前には小ぶりながらも人工氷壁があります。
貸し切りがなく、状況によっては使用可能みたいです。
赤岳山荘は非常にアットホームで昔ながらの山小屋の雰囲気を醸し出しています。
登山で求めているのは正にこう言う雰囲気です!有難う御座います(笑
居間も小ぢんまりしており、ザ・山小屋といった感じ。
このプロ御用達の簡素で山に特化された感じがとても好きです。
壁にはちょっとした物販と漫画、雑誌。
壁にかけてあるちょっとした栓抜きも歴史と趣を感じます。
山小屋は山屋の聖地であり、詫び寂びの精神が息づいており、日本らしさをとても感じられる場所です。
夕食は家で準備してきたキムチ鍋を頂きます。
部隊鍋の素とコチュジャンで味付けしてますが、我ながら最高の出来栄え!
冬登山に鍋は最高です!
隣では韓国の登山チームが暖を取っていましたが、彼らの食欲も存分に刺激したと思います(笑
山小屋のお母さんが野沢菜の漬物をお裾分け頂きました。
キムチ鍋を「一味変えた」お味でとても楽しめました。
赤岳山荘の星空
夜、外に出てみると、満天の星空!
宝石箱をひっくり返したような星空って多分こういうことを言うんですね。
ニュージーランド/クック山の星空も素敵でしたが、赤岳山荘の駐車場から見える八ヶ岳の星空はそれ以上でした。
星空ウォッチは気象条件(晴れ空、月明かりの程度等)にかなり依るのでこの綺麗な空が見えるのも一期一会ですね。
幸せは意外と近くにあるかも知れません。
この時の為に仕込んでおいた星座早見表が威力を発揮します。
正北、左手から獅子座、かに座、双子座、牡牛座、牡羊座、魚座らの黄道十二宮が冬の夜空に君臨します。
星座占いでお馴染みの星座が目の前に出現するとどこか有名人に会ったようなミーハーな気持ちになりますね!
この星座達は僕らが生まれるずっと前からこの空にあり続けたんですね。不思議です。
オリオン座や冬の大三角もハッキリ見えて大満足です!
赤岳山荘周辺は光も少なく、素敵な星空が望めるので、宿泊される予定の方は是非星空装備を持って星空ハントをしてみましょう!
- カメラ:Panasonic G99
- レンズ:LUMIX 15mm F1.7
- 三脚:Manfrotto MK393
- 折り畳み座椅子:モンベル
- 星座早見表:Vixen 宙ガール
- コンパス:SUUNTO A-10
結びに
帰りはお台場DECKSでインドカレーを食べて大江戸温泉入ってきました!
山屋と言えばインドカレー!ヒマラヤ山脈に敬意を込めて。
山小屋は基本お風呂無いので、帰りの温泉も個人的には鉄板です!
久しぶりに行くお台場の大江戸温泉ですが、目を引くプロジェクトマッピングが上映されてました!
今回は山頂を目指さないアイスクライミング登山でしたが、来週の3連休、天気が良さげなら赤岳山頂を目指してみたいと思います!
それでは、また!