ヘルメットは登山家の相棒
山はいつだって自由だ。登山に対する定義は人それぞれ。それぞれ自由に自分にとっての山頂を目指したらいい。
自分の中で「登山」と「ハイキング」の違いはひとえにヘルメットが装備リストに入るか否かだ。
ヘルメットが必要な登山となると、いよいよ散歩の域を出ており、俄然テンションが上がるものだ。「山やるぜ!」と気合が入る。それだけ危険なところに挑んでいくのだから、こちらも心してかからなければいけない。
ヘルメットは普段あまり登山しない人からすると敷居が高く、ともすれば「そんな大袈裟な」と思われるかもしれないが、勿論かっこつける為に着けている訳ではない。
山にもよると思うが、実体験からしても登山は割とまあまあな確率で落石がある。今や多くの人々が訪れ、一般化しているアルプス系登山なんかでも、基本的に着けた方がいいと。
落石というとどこか大岩が落ちてくるイメージがあるが、実際に登山の現場で落ちてくるのは前の登山者が蹴り落としたり、ホールドから剥がれたりした小石たちである。
しかし、小石と侮るなかれ、ある程度の高さから降るそれはもはや小さいメテオ。顔面骨折くらいは余裕であり得るので、安全に最大限配慮する意味でも、少しでも落石リスクがある場所への登山はヘルメット着用を推奨したい。
更にエクストリームな人達御用達のアイスクライミングの現場 では当然ながらヘルメットは必須装備である。
実際にアイスクライミング では頻繁に落氷が起きるが、落氷を見上げてしまったばかりに眼窩骨折し運ばれていった人も目の前で見たことがある。
※彼女は正しくヘルメットは着用していたが、ゴーグルの着用を怠り、且つ落氷の時は首を窄めて対応するというプロトコルを履行出来ず、見上げてしまった為に惨事に見舞われたのである!
岩メテオを食らうか、アイスメテオを食らうか。
山にせよ、氷壁にせよ、危険極まりない場所に自ら進んでいくので、やっぱり山やってる人はどこか壊れていると思う。特に好んで冬山に行きたがる人は大幅に壊れていると思う。
例え壊れていたとしても、命あっての登山である。安全にヘルメットを着用していこう。
初心者時代からの相棒/Black Diamondベクター
そんな登山家の相棒ヘルメットだが、高山登山を始めてからずっと愛用しているのがBlack Diamond社のベクターである。BDの回し者ではないが、安い!軽い!見た目がかっこいい!三拍子揃っている大変良品である。3年ほど使っているが、未だにとても重宝している。
軽さが大正義である高山登山において240gの軽さはとても有り難く、着けてる感じがしないし、首が疲れるようなことも当然ない。
ポリカーボネイトシェルとEPSフォームを一体成形した耐久性もなかなかで限界まで軽さを追求しフォーム(発泡スチロール部分)が剥き出しになっているタイプより遥かに信用できるし、どこにでも持っていける。
※登山仲間によればフォーム剥き出しタイプは飛行機などでの移動が必須となる海外登山で荷物に入れていると割れるとのこと。
しかしこの万能選手のベクター、文句がない訳ではない。
やはり軽さを突き詰めた結果ポリカーボネイトシェルがかなり薄い構造になっており、使用期間が長くなるとボコボコになってしまう難点がある。これでは折角のベクターのシンプル且つ幾何学的な洗練されたルックスが台無しである!
大きなダメージを受けない限りヘルメット自体の安全性能には影響はないが、見た目的に頂けない状態になってしまっているのが実態である。
これはこれで玄人っぽくてカッコいい感じもするが、やっぱり気になる。
装備更新KONG社製MOUSEクライミングヘルメット
そんな折、いつも愛用している某山○金○店で発見し、心動かされたのが、今回紹介するKONG社製のMOUSEクライミングヘルメットである。
登山装備はいつもBlack DiamondかLa Sportivaで揃えているのでしれっと浮気である。
このピカピカの黒兜Mouse、ベクターより一回り重い380gだが、外装は耐用性の高いABS樹脂(感触としては硬いプラスチック)、コンコン叩いてみても傷がつく感じは皆無である。素晴らしい!
ベクターのように幾何学的なルックスで洗練された感じではないが、しっかり仕事をこなしてくれそうな質実剛健でオーソドックスな見た目である。
そして、何より心を動かされたのはこの別売のヘルメットバイザーである。
お値段7000円弱ともう少しお金足したら新品のベクター買えるんじゃないかってくらい若干高価だが、バイザーを付けれるヘルメット自体貴重なので、迷わず購入!
アイスクライミング で、ゴーグル着けてると曇ったり、まとわりつく感じが気になることがあるが、それもこのバイザーで解決である!しかも、登山でもスモークタイプなので、サングラスの変わりになって便利なのではと夢が膨らむ。
イタリア語/英語併記の説明書を読みながら、装着する。非常に簡単でありプラスドライバー一本で足りる。
若干、ネジをどこまで回したらいいのか分からない感じだが、イタリア製品なんてそんなもんだ!ノリと感覚で乗り切ろう。
ドーーーン!
変態登山マンの完成である。グレートサイヤマンみたいでカッコいい。
大満足である。街中をこれで歩けば白い目必至だが、山ではヒーローになれそうな気がする。
大変残念なことに2022年に入ってもオミクロン株とコロナが収まる気配がまだない。
山小屋や人とすれ違う時にはマスク着用が必須な中、どうしても山から離れてしまっており、次の大型登山計画もないが、いつかこのKONGを連れて大きい山にチャレンジしたいものだ。
ベクター先生もこれから先輩ヘルメットとしてまだまだ活躍頂きます。
引き続きよろしく!