シカゴ美術館に行く
芸術の街シカゴでは至るところにさり気ないアートが施されていますが、そんな芸術が息づくシカゴを代表する物と言えば、やはりシカゴ美術館!
シカゴ美術館はニューヨークのメトロポリタン美術館、ボストンにあるボストン美術館と共に米国三大美術館の一つに数えられるトップレベルの美術館です。
折角のシカゴの旅ですので、確りまわって行きたいと思います。
シカゴ美術館はサウス・ミシガン・アベニュー沿いにあり、ヒルトンシカゴに宿泊している場合は徒歩15分程で辿り着ける距離にあります。
シカゴ美術館が創設されたのは1879年。建物自体は1893年に開催されたChicago World’s Columbian Expositionの際に建設されたもので、入り口のライオンが象徴的です。
ジョルジュ・スーラ
1859年12月2日生、1891年3月29日没。
印象派の画家たちの用いた「筆触分割」の技法をさらに押し進め、光学的理論を取り入れた結果、点描技法にたどりついた美の巨人。
シカゴ美術館には様々な貴重な収蔵品が保管されていますが、今回はいきなり主題に入ります!
シカゴ美術館の1番の目玉作品と言えば・・・。
ジョルジュ・スーラ:「グランド・ジャット島の日曜日の午後」1884-1886年
日本でも美術の教科書等に度々登場しており、皆が知ってるような超有名な絵画ですね。
本作はスーラたっての希望で門外不出となっており、シカゴ美術館でしか見ることが出来ません。
ジョルジュ・スーラと言えば様々な色彩の点で光を表現する点描画技法の創始者。印象派の理論を更に押し進めた為、新印象派とも呼ばれていますね。
印象派は光を表現しようと試みてきましたが、外界の光を絵画によって表現するには大変難しく、限界があります。光とは様々な色彩の集合体ですが、パレット上で色と色を混ぜるとどうしてもどんどん暗くなってしまうからです。
一方、点描画では、少しでも色を鮮やかに見せるために「視覚混合」と「補色対比」という方法を使います。
視覚混合は、パレット上で色を混ぜるのではなく、合成したい色を絵画上に点で並べることによって、視覚上に混合された色彩を作り出す技法。また、補色対比とは、それぞれ性質が違う色を敢えて並べることによって際立たせる技法です。
スーラの点描では、この視覚混合と補色対比を用いて実際の光に近い、鮮やかな色を現出させているのです。
枠にまで点描を施すあたり、光への執念を感じます。
フィンセント・ファン・ゴッホ
あまりにも有名で説明不要の美の巨匠ですね。
1853 年3月30日生、1890年7月29日没。オランダのポスト印象派の画家。
印象派の絵画が多く飾られているシカゴ美術館ですが、ゴッホ先生の作も勿論あります。
フィンセント・ファン・ゴッホ:「ファンゴッホの寝室」1889年
こちらはゴッホ先生がフランス・アルルで暮らした家の2階を描いたもの。
本作は同名の作品が3点あり、シカゴ美術館に保管されているものは1888年10月に描かれた1つ目をゴッホ本人が1889年9月に複製した2枚目。
フィンセント・ファン・ゴッホ:「春の釣り」1887年
フランス、セーヌ川を舞台とした絵画であり、自然に見出される街の生活からの休息と安堵を表現したもの。
この時期にパリを訪れたゴッホは衝撃的な印象派の絵画に大きく影響を受けたとのこと。
フィンセント・ファン・ゴッホ:「酒を飲む人々」1890年
クロード・モネ
印象派を代表するフランスの画家、モネ先生も当然います。1840年11月14日生、1926年12月5日没。
どこまでも写実的でありながらも美しい光を取り入れ、幻想的な世界観をキャンバスの上に幻出させる印象派の巨匠。
彼を印象派の代表人物として有名たらしめたのは「日の出」ですが、日本人にとって印象深い彼の代表作はなんといっても連作の睡蓮かと思います。
クロード・モネ:「睡蓮」1917-1919年
この美しい色彩の絵画は彼のフランス・ジヴェルニーにある自宅の庭を描いたもの。
モネは晩年、浮世絵や知人の話からインスピレーションを受け日本庭園を意識して庭づくりを行ったとのことで、太鼓橋や柳の木、そして水面に咲く睡蓮等が力強いタッチで絵画の中に思い出として残されています。
ポール・ゴーギャン
1848年6月7日生、1903年5月8日没。フランスポスト印象派の画家。
その生涯において、未知なる世界を追い求めて、タヒチで多くの絵画を制作。
ゴーギャン先生と言えば、南仏アルルの地でゴッホ先生と共同生活をしていたことも有名ですね。
しかし、この共同生活は二人の性格の違いからわずか2ヶ月で破綻します。
飽くまで写実主義に拘るゴッホ先生と自然の中で夢を見るべきと総合主義を主張するゴーギャン先生の馬が合わなかったようです。
ポール・ゴーギャン:「テハマナの祖先たち」1894年
ポール・ゴーギャン:「なぜ怒ったのか」1896年
語り尽くせない程の収蔵品の数々
ここまで印象派を中心に紹介してきましたが、シカゴ美術館では勿論印象派以外の絵画や美術品も展示されています。その収蔵品の量と質は膨大であり、到底ここで紹介し切れるものではありません。
その中で一部特に気になったものだけ、かいつまんで紹介させて頂きます。
ギュスターヴ・モロー:「ヘラクレスとレルネのヒュドラ」1876年
フランス象徴主義の画家、モローが描いたギリシャ神話の英雄ヘラクレスの12の難行の一つであるヒュドラ退治の場面。
互いに睨み合い、緊張感溢れる情景です。
ウジェーヌ・ドラクロワ:「ライオンに襲われたアラブの馬乗り」1849-1850年
「民衆を導く自由の女神」で有名なドラクロワが躍動感溢れるタッチで描いた一作。
僕も自宅の猛獣こと鈴鈴先生に噛まれる時はこんな感じです。猫科の牙の鋭さは半端なく必死です!
アントワーヌ・ヴァトー:「田園の集い」1718-1721年
18世紀フランスのロココ様式を代表する画家の一人、ヴァトーの一作。
暗がりの中集いし男女の妙なウェットで人間的、情欲的な描写です。
結びに
以上、シカゴ美術館を紹介させて頂きました!
絵画を中心に紹介させて頂きましたが、このほか、彫刻や美術品、西洋ばかりでなく、中国や日本の西洋のもの、果てはアフリカの物まで、膨大な量の展示があり、まともに見ようと思えば丸1日かかります。
質的にもかなり見応えがあり、時間を忘れる程です。
子供の頃教科書でなんとなく学んでいた著名作品の実物をシカゴの地で間近で見れるとは思いませんでした。とても貴重で楽しい経験です。
中国語の諺で学びとは「読万巻書、走万里路(1万冊の本を読み、1万里の道を旅せよ)」とありますが、正にそんな気分です。
今回はブログ越しでの紹介ですが、画像で見るのと実物を見るのは感動が大違いです。
是非シカゴに立ち寄る際にはシカゴ美術館を訪れてみて下さい。
世界はとてもとても広く、深く、見るべき物、体験すべき事はまだまだあります。
世界太大我想去看一看。
それでは、また!
皆様も良い旅を!